特集

2022年4月号

東京の水道

小河内ダムと水道水源林の写真
もくじ

東京の水はどこから?水道すいどう水源林すいげんりんのはたらき

みなさんは、水道のじゃ口から出てくる水がどこからくるか知っていますか?

東京都には多摩川たまがわ荒川あらかわといった川が流れていて、その水が水道水に利用りようされています。では、川の水はどこからくるのでしょう? それぞれの川をたどっていくと大きな森に行きつきます。森にった雨は木のみきや葉をつたわり、落ち葉のみ重なったふかふかとした土にしみこみ、地中に地下水としてたくわえられます。地下水はわき水となって地上にしみ出し、その流れが集まり川になります。水をはぐくむために重要じゅうような森林を水源林すいげんりんとよび、多摩川たまがわ上流域じょうりゅういきには東京都と山梨県やまなしけんにまたがる水道すいどう水源林すいげんりんがあります。その面積めんせきやく2.5万haにもおよび、自治体じちたい(水道事業体)が管理かんりする水源林すいげんりんとしては全国最大さいだい規模きぼです。

東京都水源林マップの画像
東京都の水源林(すいげんりん)マップ、水道水源林(すいどうすいげんりん)について詳細はこちら

水源林すいげんりんを守るために

余分な枝を落としたりと森の手入れを行っている写真。
森の手入れのようす。よぶんな(えだ)を落としたり木の本数を調整したりして、森林内を明るくする作業を行っている。

森の地面に水がしみこむと、雨水にふくまれるちりなどがこしとられ、きれいな水になります。また森は大雨のときに土砂どしゃくずれをふせぐはたらきもしています。これらのはたらきを十分に発揮はっきさせるには、森を開発から守るだけでなく、よぶんなえだを切り落としたり、木の本数をへらしたりして、森林内を明るくするといった管理かんり必要ひつようです。

今からやく120年前の1901年から東京都は水源林すいげんりんを守りはじめ、それからずっと森を管理かんりしてきました。また東京都では都民とみんや近県の市民しみんにたいして「多摩川たまがわ水源すいげん森林隊しんりんたい」というボランティアをつのり、いっしょに森林の手入れもしています。こうしたたくさんの人の手によって多摩川たまがわ上流域じょうりゅういきは守られています。

小河内ダムと水道水源林を空から撮影した写真。
小河内(おごうち)ダムと水道水源林(すいどうすいげんりん)

水はどうやってとどくの?
水源林すいげんりんから家庭に水がとどくまで

東京都の水源林から川となって流れ出た水は、おもに奥多摩町にある小河内ダムにためられます。ここでは最大18,540万㎥の水をためることができます。東京都民約1,380万人が40日間使用できるで、水道専用のダムとしては日本最大級規模です。ダムに水をためておくことで、わたしたちが必要とする水のに合わせて、川に水を流すことができます。

水の循環を表しているイラスト。
水源林(すいげんりん)からわき出た水は、ダムから川に流され、取水せきで浄水場(じょうすいじょう)へ送られる。浄水場(じょうすいじょう)できれいにされた水は水道管(すいどうかん)を通り(かく)家庭などにとどけられる。家庭で使った水は下水処理場(げすいしょりじょう)できれいにしてから、川や海にもどす。海であたためられた水が水蒸気(すいじょうき)となって雲になり、ふたたび雨や雪を(ふ)らせる。

小河内おごうちダムから放流された水は多摩川たまがわを流れ、小作おざく取水せきや羽村はむら取水せき(川のとちゅうにしきりをもうけて水位すいいを上げ、川の水を引き入れる施設しせつ)で取り入れられて、浄水場じょうすいじょうへと送られます。群馬県ぐんまけん埼玉県さいたまけんを通って流れてくる利根川とねがわ荒川あらかわの水も同じように浄水場じょうすいじょうに送られます。浄水場じょうすいじょうでは川の水から、さまざまなよごれを取りのぞいて、安全でおいしい水道水をつくります。

浄水場じょうすいじょうできれいになった水は、地下にはりめぐらされた水道管すいどうかんを通って家庭や学校、会社に送られます。東京都の水道管すいどうかんを1本につなげた長さはやく2万7,000㎞にもなります。これは地球を3分の2しゅうできるほどの距離きょりです。

水不足をふせぐには

雨量うりょうが少ない年には、ダムの水がへって水不足みずぶそくになることがあります。東京都の家庭では、平均へいきんすると1日にやく230リットル(おふろのよくそうやく1ぱい分)を利用りようしています。日ごろからじゃ口をこまめにしめたり、ふろの水をそうじやせんたくに再利用さいりようしたりと、水をむだなく使うよう心がけることで、水不足みずぶそくをふせぐことができます。

おいしい水をつくる高度こうど浄水処理じょうすいしょり

安全でおいしい水道水はどのようにしてできるのでしょうか。ふつう浄水場じょうすいじょうでは、川の水によごれをかためる薬品をまぜて、ちんでんという施設しせつでよごれをしずめ取りのぞきます。そのあと、ろ過池かちという施設しせつで、すななどのそうに水を通してさらに細かいよごれを取りのぞきます。

高度浄水処理を行う設備と効能を説明するイラスト。
高度浄水処理(こうどじょうすいしょり)をはじめとした水質(すいしつ)の管理(かんり)のおかげで、東京都の水のおいしさは、ミネラルウォーターにならぶことがわかっている。東京都で平成(へいせい)30年に行われた水道水とミネラルウォーターの飲みくらべ調査(ちょうさ)では、参加者(さんかしゃ)の40%が「水道水のほうがおいしい」と答えた。

これにくわえて、東京都の多くの浄水場じょうすいじょうでは、より安全でおいしい水をつくるために、「高度こうど浄水処理じょうすいしょり」という技術ぎじゅつを取り入れています。高度こうど浄水処理じょうすいしょりでは、まずカビのようなにおいの原因げんいんとなる物質ぶっしつなどをオゾンという気体で分解ぶんかいし、分解ぶんかいしたものをたくさん細かいあながあいた生物せいぶつ活性炭かっせいたんそうを通して取りのぞきます。

災害時さいがいじ活躍かつやくする給水きゅうすいステーション

大地震だいじしんのときには、電気が止まってポンプで水を送水することができなくなったり、水道管すいどうかんがこわれたりして、水道が止まってしまうことがあります。人間が生きていくためには、1日3ℓの水が必要ひつようだといわれています。命をつなぐためになくてはならない水が止まってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?

東京都では水道が止まってしまったときに、ペットボトルやポリタンクなどの容器ようきを持って行けば給水給水してもらえる「災害時給水さいがいじきゅうすいステーション」を200か所以上いじょうもうけています。自分の家からいちばん近いところはどこか確認かくにんし、一度実際じっさいに行ってみるとよいでしょう。また、災害時給水さいがいじきゅうすいステーションが使えない場合や、近くにない場合は、給水車きゅうすいしゃで水を配ります。

応急給水槽の仕組み

災害救急ステーションの機能を説明したイラスト。
災害時給水(さいがいじきゅうすい)ステーションの地下には、水をためておく「応急給水槽(おうきゅうきゅうすいそう)」があり、大規模(だいきぼ)なもので(やく)1,500㎥の水をためることができる。応急給水槽(おうきゅうきゅうすいそう)には水道管(すいどうかん)がつながっていて、循環(じゅんかん)ポンプによって中の水がつねに入れ(か)わっている。災害(さいがい)時には水の出入りを止めて、自家用発電設備(じかようはつでんせつび)を使って応急給水(おうきゅうきゅうすい)ポンプを動かし、応急給水栓(おうきゅうきゅうすいせん)から水を配る。

TOKYOものしり辞典じてん

東京都の区市町村で、 面積めんせきが3番目に大きいのはどこ?

東京都の面積めんせきやく2,194㎢で、都内には62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。いちばん面積めんせきの広い区市町村は、奥多摩町おくたまちょうです。奥多摩町おくたまちょう自然しぜんゆたかで、水源林すいげんりんだけでなく東京都の最高峰さいこうほうである雲取山くもとりやまがあります。2番目に面積めんせきの広い区市町村は八王子市はちおうじしです。八王子市はちおうじしは広いだけでなく、東京都にある市の中で人口がいちばん多い市です。3番目に面積めんせきが広い区市町村は、小笠原村おがさわらむらです。

東京都には太平洋にうかぶ、大小さまざまな島からなるとうしょという地域ちいきがあります。とうしょだけで都の面積めんせきやく18.5%をめます。東京都のとうしょ伊豆諸島いずしょとう小笠原諸島おがさわらしょとうで、そこには2つの町と7つの村があります。

小笠原村おがさわらむらは、30あまりの島からなる小笠原諸島おがさわらしょとうにあり、その中の父島ちちじま母島ははじま島民とうみんの多くがくらしています。本州(東京港)から、船でやく24時間かかります。温暖おんだん気候きこうを生かした果物くだもの野菜やさい栽培さいばい水産業すいさんぎょうがさかんです。小笠原諸島おがさわらしょとうは島ができてから今までに、大陸たいりく陸続りくつづきになることがなかったため、島独自どくじの動植物が多く見られることから、2011年には世界自然遺産せかいしぜんいさんにも登録とうろくされています。

伊豆諸島と小笠原諸島周辺の緯度と経度を表した地図。
海を一望できる小笠原諸島の街並みの写真。

きみは何問わかるかな?おさらいおさらいワークシート