2023年9月号
もしもの時に大活躍 「防災ノート」って知ってる?
東京都教育委員会は、災害への備えや対応を知り、考え、自分なりに調べてまとめる学習ノート「防災ノート~災害と安全~」を、デジタルブックとして防災教育ポータルサイトで配信しています。防災ノートは、地震や火災、大雨などの災害に備えて、日ごろからとるべき行動や、災害が起こった時、その場でとるべき行動である防災アクション(行動)を起こすための学習ノートです。
みなさんはこの防災ノートを活用し、災害があったときに備えて、事前に確認しておくことが大切です。防災ノートのワークシートに「わが家の防災アクション・チェックリスト」というものがあります。お家の人といっしょに書いてみましょう。
「防災アクション」を起こす力を身につけるための学習ノート
「防災ノート」は、災害に対して、自分や身の回りの人たちの命を守るために、「防災アクション」を起こす力を身につけるための学習ノートです。さまざまな災害について、防災に必要な知識を確認する《知る》、災害時の行動や日ごろの備えを考える《考える》、「知る」「考える」で学習したことをさらに調べる《調べる・まとめる》の項目があります。 では実際に、防災ノートの一部を見てみましょう。
災害の特徴から考えてみよう
火災
❖知る
火災が起こると建物などが燃えてまわりにも燃え広がり、被害が広がります。煙も出てくるので、煙をすうと息ができなくなってしまいます。
・火災を見付けたら、近くの大人に知らせましょう。火災報知機を押して、119番通報をしましょう。
・煙をすわないように、ハンカチで口と鼻をふさぎましょう。逃げるときは階段を使いましょう。
❖考える
・家の中で、火災が起こりそうなこところを探してみましょう。
・家で火災が起こったら、どうしたらよいか考えてみましょう。
地震
❖知る
地震が起きると、ビルや家などの建物がたおれたり、海の近くでは津波が来たり、マンホールが浮き上がるなどの被害が起こります。建物の中でゆれを感じたり、緊急地震速報を受けた時は、丈夫なテーブルの下などの安全な場所に身を隠し、ゆれが収まるまで待ちましょう。
❖考える
【学校にいるとき】
・学校で地震が起こったら、どうしますか。自分の教室や学校の校庭には、どのような危険がありますか。
・落ちてきそうなもの、倒れやすいもの、移動しそうなものの視点で、考えてみましょう。
【家にいるとき】
・家にいるときに地震が起こると、どのような危険がありますか。
・部屋に「そなえ」をしていても、物が落ちてきたり、倒れてきたりします。家で寝転んで、危険を探してみましょう。
❖調べる・まとめる
【学校や家ではない場所にいるとき】
・地震は家の周りやよく遊びに行く場所で起こることもあります。どのような危険があるか調べてみましょう。
・調べて分かったこと、考えたことを書きましょう。
大雨・台風
❖知る
暴風雨を引き起こす台風や、短い時間で大雨に降られる「集中豪雨」で起きる雨風の強さはふだんとまったくちがいます。大きな災害につながり、人の命がうばわれることもあります。気象情報や警報を注意して聞き、家に入るようにしましょう。
❖考える
大雨が降ると、川の水が増えるだけでなく、下水や用水路から水があふれ、マンホールのふたが外れることもあります。
・川の水が増えているときは、どのようにしたらよいでしょうか。
・大雨や台風のとき、あなたの家の周りにはどのような危険があるか、考えてみましょう。
❖調べる・まとめる
ハザードマップは、災害被害を少なくすることや、防災対策のため、被害想定区域や避難場所、避難経路などの情報を表示した地図のことです。区市町村ごとに作成されています。
・あなたの住んでいる地域のハザードマップを調べてみましょう。
・調べて分かったことを書きましょう。
東京都は、一人ひとりが風水害から身を守る行動を考えるための道具として「東京マイ・タイムライン」を発行しています。この「東京マイ・タイムライン」には、避難までの行動を順番に整理できるマイ・タイムラインシートとその作成のためのガイドブック、シールが入っています。
・お家の人や周りの人と話し合いながら、自分だけのマイ・タイムラインを作り、風水害に備えましょう。
防災ノートにはこのほか、「火山」「竜巻・大雪」「原子力・放射線災害」といった災害についても書かれています。よく読んで、自分の身を守るためにどうしたらよいか考えましょう。
災害に備えよう
日ごろの備え
❖知る
「非常用持ち出し袋」の用意はできていますか
避難の時、必要なものを入れたふくろが「非常用持ち出し袋」です。もしものときにすぐに大事なものを持ち出せるよう、何を入れたらよいかお家の人や周りの人と話してみましょう。 また、避難の時は落ちているものでけがをしないように、底がしっかりした靴をはくと安心です。
【関連リンク】9月号おさらいワークシート「災害に備えて情報を整理しておこう」
❖考える
家から出ないで避難(在宅避難)することもあります。
・家にはどのような備えがあるか調べてみましょう。
・お家の人や周りの人と話し、どのようなものを備えておくとよいか考えてみましょう。
【想定すること】
・電気、水道、ガスが使えなくなったとき
・下水道が使えなくなったとき ・食料は最低3日間を過ごせるように用意する
❖調べる・まとめる
避難するところは決めていますか?
登下校や、家の外にいるときに地震が起こることがあります。災害が起こる前に、次のことをお家の人と決めておきましょう。
・避難するところはどこですか。
・お家の人などと集まるところはどこですか。
・どうやって連絡をとりますか。
覚えておこう「171(災害用伝言ダイヤル)」
災害がおきると、災害がおきた被災地への通信が増え、回線がつながりにくい状況になることがあります。「171(災害用伝言ダイヤル)」は、そんなときに役立つ“声の伝言板”です。
公衆電話の使い方を、お家の人などに聞いておきましょう。
避難所
❖知る
災害が起こったとき、家にいると危険なとき、家が被害にあって住めなくなったときは、避難所に行きます。学校や公民館などが避難所になります。家が安全な人は、在宅避難をしましょう。
❖考える
避難所はみんなで生活する場所です。ルールを守り、お互いに助け合って生活することが大切です。ほかの人が過ごしているスペースはのぞかないようにする心がけや、衛生を守るためにトイレやごみ捨てのルールを守りましょう。
・避難所での生活では、どのようなことに気を付けるとよいでしょうか。
・避難所の生活で、あなたができることは、どのようなことですか。
防災ノートにはこのほか、応急手当のしかたや、学校の避難訓練について書かれています。よく読んで、手当の方法を知り、避難訓練にも真剣に参加するようにしましょう。
学びを深めよう
防災体験施設に行ってみよう
❖知る
東京都には、災害について調べたり、防災体験ができたりするところがあります。お家の人などと一緒に見学して、防災体験をしてみましょう。
▶東京消防庁都民防災教育センター(防災館)
池袋防災館
立川防災館
本所防災館
【関連リンク】防災館で体験!もしもの時に役立つ行動力を
▶東京消防庁消防博物館
▶そなエリア東京(東京臨海広域防災公園)
▶気象庁気象科学館
▶しながわ防災体験館
▶東京都北区防災センター(地震の科学館)
▶練馬区立防災学習センター
これまでの災害に学ぶ
❖調べる・まとめる
2011(平成23)年の東日本大震災では、津波や火災が起こり、死者・行方不明者はおよそ2万人、こわれた建物は40万か所にものぼりました。明日への希望をつなぐ人々の力で、復興が進んでいます。
東日本大震災のことを調べてみましょう。
参考:「3.11を忘れない」(東京都教育委員会)
わが家の防災アクションを確認しよう
防災アクションとは、災害に備えて日ごろから取るべき行動や、災害が起こったとき、その場でとるべき行動のことです。防災ノートのワークシートには「わが家の防災アクション・チェックリスト」があります。ワークシートを活用してお家の人や友達と話し合いましょう。
参考:「防災ノート小学校3・4年生版」東京都教育委員会
関東大震災から100年
100年前の1923(大正12)年に起きた関東大震災では、地震とそれに続く火災などによって死者・行方不明者が10万人を超えました。大きな被害を受けた東京の街がどのように復興をとげ、その教訓や復興政策がどのように現在に生かされているか、調べてみましょう。
【関連リンク】災害に強い都市・東京の基礎をつくった後藤新平
【関連リンク】関東大震災復興100年教材(東京都教育庁)