2022年11月号
未来の東京
未来の東京はどんなまち?
みなさん、下にえがかれているまちはどこか、わかりますか?
正解は……未来の東京です!
このイメージは、現在、東京都が進めている東京ベイeSGプロジェクトにもとづいてえがかれた、未来の東京湾沿岸のまちです。東京ベイeSGプロジェクトは、東京都の未来に向けたまちづくりの計画「未来の東京」戦略のひとつです。50年、100年先のことを考えながら、東京湾沿岸から、最先端の技術を使って豊かな自然とべんりなくらしを実現するプロジェクトで、世界の都市のモデルになることを目指しています。
注目!空飛ぶクルマ
すでに実現に向けて動き出している取り組みもあります。たとえば「空飛ぶクルマ」です。空飛ぶクルマは自動車のように気軽に使える、空を飛ぶ乗り物です。道路にしばられず、目的地までまっすぐ向かうことができるので、自動車のように渋滞で足どめされることがなく、電車やバスのように何度も乗りつぐ手間もありません。山にかこまれた地域や島しょ部など、今まで行き来がしづらかった地域での移動や、災害がおこったときの救助などにも活用できるとされ、わたしたちのくらしをよりよくしてくれる、未来の乗り物として期待されています。
日本やアメリカ合衆国などで機体の開発が進むなか、東京都デジタルサービス局では空飛ぶクルマを実際に飛ばすための調査をはじめました。都は2024年度に、実際に空飛ぶクルマを飛ばす実験を計画しています。
東京の空を、空飛ぶクルマが自由に行き来するなんて、わくわくしますね! 今年の9月22~25日には、空飛ぶクルマをVR(ヴァーチャルリアリティ)などで体験できる「未来のエアモビリティ体験フェス」が開かれました。これからもさまざまなイベントが開催される予定なので、みなさんもぜひ、参加してみてくださいね。
参考リンク
未来の東京について、動画で解説!
東京都 「未来の東京」戦略~みんなでつくろう未来の東京~2030年・SDGsを
未来の東京を創る!東京ベイeSGプロジェクト(東京ウィークリーニュース)
東京ベイeSGプロジェクトの最新情報は、ここでチェック!
めざせ! バリアのない社会
東京ベイeSGプロジェクト以外にも、東京都では未来に向けたさまざまな取り組みが進んでいます。そのひとつがバリアフリーのまちづくりです。
バリアフリーとは、すべての人が安心してくらせるよう、くらしのさまたげになる壁(バリア)を取りのぞく(フリー)ことです。では、くらしの壁になるものとは、どんなものでしょう。
なにが「壁」になっているか、考えてみよう!
車いすに乗っている人は、道に高い段差があると、一人ではその先に進めません。
聴覚に障がいをもつ人や、耳が聞こえにくくなったお年寄りなどは、電車などで事故がおこったとき、音声でしか情報が伝えられないと、状況がわかりません。
ベビーカー優先のエレベーターがあっても、満員のときはだれかがゆずらなければ乗ることができません。
日本語しか書いていないと、日本語がわからない人には読むことができません。
このように、わたしたちのくらしには、物やしくみ、人の心など、さまざまな場所に壁があります。多くの人にとって壁でなくても、一部の人たちには大きな壁になるものもありますね。このような壁を見つけて、どうすればみんながべんりに使えるかを考え、対策をしていくのがバリアフリーです。
駅で! 公園で! 広がる東京都のバリアフリー
東京都はバリアフリーの取り組みを進めており、皆さんの身近な場所にも広がっています。たとえば、駅のホームドアです。地下鉄駅では2025年度までに100%、JR・私鉄駅では2030年度までに約6割の整備を目指して取り組みを進めています。
ホームドアは駅のホームに設置して、人やものが線路に落ちたり、電車とぶつかったりしないようにするためのものです。駅のホームでは、視覚に障がいのある人などが、あやまってホームから落ちることがあり、時には命にかかわる事故になることもあります。そのため都ではホームドアの設置にとくに力を入れ、2013年度に都内の全駅で30%だった割合が、2020年度には48%にまで増えました。
また、公園ではバリアフリーの遊具広場も登場しています。2020年には都立砧公園(世田谷区)に障がいのある子どもも安全に遊ぶことができる遊び場、「みんなのひろば」がもうけられました。音の出る遊具やみんなで乗れるシーソーなど、さまざまな遊具があり、だれもがいっしょになって遊ぶことができます。
これらの設備や施設は、お年寄りや障がいのある人たちだけではなく、わたしたちみんなのくらしをよりよくしてくれます。たとえばホームドアが設置されていれば、わたしたちも安心してホームを歩くことができますよね。バリアフリーは、だれもがくらしやすい社会をつくるための取り組みなのです。
未来の環境もくらしも守るためには、どうすればいいの?
まちづくりには、人のことだけでなく、自然や環境、未来のことも考えることが大切です。
いま世界で問題になっている地球温暖化は、わたしたちが化石燃料(石炭、石油、天然ガス)を使うことなどで排出される、二酸化炭素などの温室効果ガスが原因です。化石燃料は電気などのエネルギーをつくるため、また、プラスチックの原料などに使われています。
日本をふくむ世界各国は、地球温暖化をふせぐため、2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標をかかげています。
都内で進む再生可能エネルギーや水素の活用
東京都でも、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを宣言し、「2030年カーボンハーフ」という目標をかかげています。2030年までに、2000年とくらべて温室効果ガスの排出量とエネルギーの消費量を半分(ハーフ)にし、都内で使う電気の半分を再生可能エネルギーでつくられた電気にするという目標です。再生可能エネルギーは、太陽光や風、水などの自然の力を利用したエネルギーのことで、つきる心配がなく、くり返し使うことができます。温室効果ガスもほとんど排出しない、環境にやさしいエネルギーです。
この目標を実現するため、東京都では太陽光を電気に変える太陽光パネルの設置や、水素の活用、プラスチックのリサイクルなどを進めています。水素は、利用するときに温室効果ガスを排出しないことから、未来のエネルギーとして期待されています。都は、水素が社会で当たり前のように使われる未来を目指して、水素で走る燃料電池自動車・燃料電池バスや水素の補給ステーションが増えるよう、支援しています。
今年から東京都が進めている電力を「へらす(H)」、「つくる(T)」、「ためる(T)」HTTも、カーボンハーフに向けた取り組みのひとつです。このうち「へらす」では、電気を節約して大切に使う、節電が大事でしたね。寒くなってくると、エアコンなどの暖房器具を使うことが増えます。カーディガンをはおる、ひざかけを使うなどして暖房の設定温度を下げたり、家の中ではみんなで同じ部屋ですごして、暖房をつける部屋をひとつにしたりすれば、使う電気の量を減らすことができますよ。
参考リンク
未来のために、わたしたちができることって?
東京の未来に向けたさまざまな目標や、取り組みがあることがわかりましたね。これらの取り組みの基本になっているのは、「サステナブル」という考えかたです。サステナブルとは「持続可能な」という意味で、未来まで「ずっと続けていける」ということです。「今がよければいい」、「自分がよければいい」と考えて自然破壊したりして発展しても、そのくらしを長く続けることはできません。豊かな自然や文化、産業、くらしを受けついでいくためには、未来のこと、他の人や環境のことを考えて行動することが必要なのです。
そのためには未来の主役である皆さんが、未来について真剣に考え、行動をおこしていくことが大切です。東京都では、未来のまちづくりに皆さんのような小学生の意見やアイデアを取り入れるため、さまざまな取り組みをおこなっています。2021年には「みんなでつくろう!未来のベイエリア」絵画コンクールが開かれ、たくさんのすてきなアイデアが集まりました。
皆さんの思いえがく未来の東京は、どんなまちですか。それを実現するために、どんなことができるでしょう。いっしょに考えてみましょう!
TOKYOものしり辞典
高速道路が○○に変身?
多くの人が集まる中央区銀座周辺を、かこむようにつくられた高速道路があります。有楽町、銀座、新橋などの東京都心を通る、全長約2kmにわたる高架の道路です。東京高速道路株式会社(株式会社=Kabushiki Kaisha)が管理することから、KK線とよばれています。およそ60年にわたって東京の交通をささえてきましたが、今後、周辺の地下に新しく高速道路ができることから、自動車が走る道路としては使われなくなります。
このKK線を、多くの人が行きかう広場や緑のある空間「Tokyo Sky Corridor(東京スカイコリドー)」に再生しようという計画が進んでいます。完成すれば、この空間を自由に歩いて東京のまちをながめたり、緑にかこまれて、のんびりとすごしたりすることができます。
東京スカイコリドーの全区間が完成するのは、2030年代から2040年代の予定です。東京都心に遊びに行くのが、今よりもっと楽しみになりますね!