読書で広がる未来みらい

　今号では、女じょ優ゆうの莉り子こさんと、お笑わらいコンビ・ティモンディの前まえ田だ裕ゆう太たさんへの本や読書にまつわるインタビューを掲けい載さい！ 小さいころに読んだ思い出の１冊さつや、読書の楽しさ、本を選えらぶときのアドバイス、おすすめの本の紹しょう介かいなど、もりだくさんのインタビューは必ひっ見けんです！

絵え本ほん、小しょう説せつ、図ず鑑かん…
どんな“本”との思い出がありますか？

　いままでに読んだ本のなかで、いちばん好すきな本は？ と聞かれたら、みなさんはなんと答えますか。小さいころ、くり返し読んでもらった絵本。友だちと競きそって探さがしたまちがい探さがし。主人公に共きょう感かんして、思わず泣ないてしまった小しょう説せつ。生き物に興きょう味みをもつきっかけになった図ず鑑かん。学校の先生がおすすめしてくれた伝でん記き……。

　いままで読んだ本のことをふり返ると、そのとき自分が好すきだったものやがんばっていたこと、家族や友だちとの思い出なども、いっしょによみがえってきますね。ある本を読んで、自分の考えかたや世界の見えかたが変かわったという人もいるかもしれません。

　では、有名なあの人の思い出の本は、どんな本なのでしょう。気になりますね。「本が大だい好すき！」というキミも、「読書ってむずかしそう」、「なにを読めばいいかわからない」というキミも、前まえ田ださんと莉り子こさんのお話を聞いてみましょう！

「読書は正せい解かいがないからこそ何を想そう像ぞうしても自由。その瞬しゅん間かんが好きなんです」莉り子こさんインタビュー

読書が好きになったきっかけは何ですか？

　小学校の時に週１回あった「朝読書」の時間ですかね。みんなで本を持ってきて20~25分くらい集中して読む時間があって。最さい近きん買った本をその時間に読んで面白いと思ったら家でも続つづけて読んだり、あんまり面白くなかったら次の本に変かえたりして、時間を使っていました。

「どんな本を読めば良よいかわからない」と思っている子どもたちに向けて、莉り子こさん流の選えらび方かたのコツを教えてください。

私わたしは普ふ段だんこんな感じで本を選えらんでます！

【莉り子こさん流本の選えらび方かた】

① 自分の好すきなジャンルを選えらぶ！

② 気になる表紙のビジュアルで選えらぶ！

③ 書店のランキングをチェックする！

④ “推おし”のユーチューバーやインフルエンサーの本を探さがしてみる！

⑤ 目次やあらすじだけまず読んでみる！

　私わたしも小学生のころは恋れん愛あいモノばかり読んでいました。それでもしちょっと「難むずかしいな…」って思ったら無む理りして最さい後ごまで読まなくても次の本を探さがしてみる。今、ちょうど読んでいるのが尾お崎ざき世せ界かい観かんさんと千ち早はや茜あかねさんの『犬も食わない』という小しょう説せつなんですけど、目次が「いちごミルク」とか「フライドポテト」とかになっていて、めちゃくちゃ読みたくさせるじゃんって！ものすごく著ちょ者しゃさんならではでキャッチ―ですよね。そういう目をひくタイトルだったり、本のビジュアルだったり、興きょう味みを持ったものでいい。

「読書って難むずかしそう」と思っている子どもたちに、おすすめの本はありますか？

　『5分後に意外な結けつ末まつ』っていう本がすごくおすすめです。短い5分くらいで読める短たん編ぺんがつまっている作品です。1話1話がそれぞれで完かん結けつしていて、「途と中ちゅうなのに」っていう感かん覚かくにならずにすむ。最さい後ごに必かならずどんでん返しがあったりするので読よみ応ごたえもあります。

　目次をみて気になった話だけを読むこともできます。自分が興きょう味みのありそうな話を読めば良よいので、長い文章を読むのが苦手な子にぜひすすめたいです。

今でも本はよく読んでいますか？莉り子こさんが読書を続つづける理由は何でしょうか。

　お仕事ではけっこう空き時間があることも多いので、常つねにカバンの中には本をいれて持ち歩いています。電でん子し書しょ籍せきでは読んだことがなくて、紙をめくって自分で確かく認にんできるじゃないですか。「今、これくらいまで読んだんだ」とか。本を持ち歩く感かん覚かくも好きです。

　読書している間は、他のことを考えずに本の世界に没ぼつ入にゅうできる。物語、ストーリーに入れるので、その時間が心地よくて。語ご彙い力りょくや表ひょう現げん力りょくも吸きゅう収しゅうできます。

　あと読書の面白いところって、頭の中で自由に想そう像ぞうできるところだと思うんです。自分が見ているのは文字だけど、そこから映えい像ぞうに変かえていくというか。正せい解かいがないからこそ自分で何を想そう像ぞうしても自由っていう。その瞬しゅん間かんがずっと好きなんです。

「将しょう来らいの夢ゆめの途と中ちゅうに本がある」
ティモンディ・前まえ田だ裕ゆう太たさんインタビュー

小学生のころに読んだ思い出の本は何ですか？

　『エルマーのぼうけん』です。少年エルマーがどうぶつ島でとらえられているりゅうの子を助けに行く話。想そう像ぞう力りょくがふくらむし、物語の途と中ちゅうに絵や地図があって、「本ってこんなに面白いんだ！」と衝しょう撃げきでしたね。

　僕ぼくは「りゅうにこんなえさをあげたい」などと頭の中で話を作ったり、本の地図を紙に写して「ここで生活してみたい」と絵をかいたりして、物語の中で“前まえ田だのぼうけん”をしていました。

　子どものころの僕ぼくは、一人よがりな性せい格かく。『エルマーのぼうけん』から、負けたり苦しんだりする経けい験けんも必ひつ要ようで、実は「楽しいこと」なんだなと思えるようになって。物語では、エルマーがりゅうのいる場所まで遠回りをして、ぬま地などに行きますが、遠回りしたからこそ発見できることもある。

　ティモンディは2人組。相方（高たか岸ぎし宏ひろ行ゆきさん）は、不ふ思し議ぎな生き物のようなところもあるので、例たとえるなら “りゅう”ですね。だから、「前まえ田だのぼうけん」は今も続つづいています（笑）。

高校まで野球に打うち込こんでいた前まえ田ださん。読書が趣しゅ味みになったきっかけは何でしょうか？

　野球を始めたのは小学4年。当時はプロ野球選せん手しゅになることが一番の目もく標ひょうでした。夢ゆめをかなえるためには、高校野球で甲こう子し園えんに出なければと思い、地元の神か奈な川がわから、愛え媛ひめにある野球の強い高校に進みました。でも、高校3年でその夢ゆめはあきらめました。部活を引いん退たいして情じょう熱ねつをかたむけることがなくなり、「これから何のために生きればいいだろう？」と悩なやみました。

　そんな時、学校の図書室で司し書しょさんが「やることがないなら、これ読みなよ」と、森もり絵え都とさんの『カラフル』を貸かしてくれました。その本がめちゃくちゃ面白かったのをきっかけに、卒そつ業ぎょうまで1日1冊さつのペースで、司し書しょさんのおすすめ本を借かりて読みました。夢ゆめの実じつ現げんだけが生きる喜よろこびではなく、みんなが楽しく過すごせる形が、世の中にはいろいろあると知りました。それから、読む本の種しゅ類るいはどんどん広がっています。

本の選えらび方・読み方のポイントを教えてください。

　「自分が主人公」と思える本には、絶ぜっ対たいに出会えます。僕ぼくは野球が好すきなので、あさのあつこさんの『バッテリー』という小しょう説せつにハマりました。みんなも例たとえば、ごはん、遠足、晴れた天気など、何か好すきなことを調べて本を選えらんだら、興きょう味みが広がるんじゃないかな。

　読書は自じ分ぶん探さがしになるし、夢ゆめの実じつ現げんにつながることが多いです。大切なのは、何が面白かったのか、面白くなかったのかを知ること。それは、ユーチューバーやコックのような、自分のなりたい夢ゆめに近づくためのアイデア集めになります。将しょう来らいの目もく標ひょうや、進みたい道の途と中ちゅうに本があると思って読めば、好すきなものが分かってくると思います。

「読書ってむずかしそう」と思う子どもたちにおすすめする本を教えてください。

　まずは『おもしろい！進化のふしぎ　ざんねんないきもの事じ典てん』。生き物の好すききらいに関かん係けいなく楽しめるし、好こう奇き心しんをすごくかき立てられます。あとは『モモ』。灰はい色いろの男たちが現あらわれて時間をうばう話ですが、みんなが読んでも分かるし面白い。「時間とは何か」と、自分の考え方を問われるような作品です。

こどもたちへメッセージをお願ねがいします。

　好すきなものはいっぱいあると思うけれど、本には、みんなから愛あいされる理由があります。みんなも、周まわりにいる人のおすすめ本や、読んでみたい表紙の本を手に取ってもらえたら、人生が2倍3倍どころじゃないくらい豊ゆたかになると思います。ぜひ、どんな本でもいいので、試ためしに読んでみてください！

“読書”が広げてくれる将しょう来らいの可か能のう性

　本は、たくさん読んだ人、早く読んだ人が勝ち！ というものではありません。ページ数が多い本、むずかしい本を読んだからといって、えらいというわけでもないですね。読書を通じて得えられるのは、いままで知らなかったことを知ってびっくりしたり、なみだがあふれるほど感動したり、つづきを想そう像ぞうしてわくわくしたり、思わず深く考えこんでしまったり……そのゆたかで、よろこびにあふれた時間です。それは頭や心の栄えい養ようとなり、みなさんを大きく成せい長ちょうさせてくれます。

　もうすぐ新学年。ひとつ学年が上がるのを前に、「本を読んでみようかな」と思ったら、ぜひ、書店や図書館に出かけてみてください。友だちや家族に、好すきな本やおすすめの本を聞いてみましょう。莉り子こさんや前まえ田ださんが話してくれたように、好すきなジャンルや表紙から選えらぶのもいいですね。

　「いまは本が好すきになれない」、「読書以い外がいにやりたいことがたくさんある」という人も、心配しないで。本はいつでも、いつまでも、みなさんが表紙を開くのを待っています。自分が読みたいと思ったときに、読んでみてください。

　みなさんの、本とのすてきな出会いを願ねがっています！