2023年5月号
ここが東京都?! 車や電車では行けない「都内の宝島」~伊豆諸島編
みなさんは、東京に「島」があることを知っていますか? 伊豆
半島南東方向の海上にある伊豆
大島から続
く「伊豆
諸島
」と、その南にある「小笠原
諸島
」の住所は、実は“東京都”なのです。
これらは東京島しょ地域
と呼
ばれ、大小合わせて200以上
の島々が含
まれています。このうち実際
に人が住んでいるのは伊豆
諸島
の大島、小笠原
諸島
の父島など11島です。東京都内なので、島内を走る車は「品川ナンバー」!
東京だけど車や電車では行けない「東京都の宝島
」、まずは伊豆
諸島
の秘密
にせまってみましょう。
活発な火山群島、伊豆諸島
地球の表面は、プレートと呼
ばれる巨大
な岩盤
で覆
われています。海水を吸
い込
んだ海のプレートが陸側
のプレートの下にもぐり込
んだ時に、その水分のはたらきで地球の内部のマントルというところがとけて、マグマになると考えられています。
火山の地下には火山ガスがとけこんだマグマがあり、このマグマはガスに押
し上
げられて地上の近いところに上がってきます。すると炭酸
ジュースのふたをあけたようにマグマの中の火山ガスが泡
になり、泡
を含
んだマグマが地上で噴
き出
します。これが噴火
です。伊豆
諸島
は、フィリピン海プレートの下に太平洋プレートが沈
み込
む
場所に沿
って噴火
した火山活動で生まれたのです。
なかでも火山活動が特
に活発なのが、伊豆
大島と三宅島
です。この150年間で大島が4回、三宅島
が5回噴火
(中規模
噴火
)。1986年の伊豆
大島噴火
で当時の島民
約
10,000人が約
1か月間全島避難
、2000年の三宅島
噴火
では約
3800人の島民
が4年5か月にわたって全島避難
しています。
気象庁
伊豆
大島火山防災
連絡
事務所
の火山調査官
、水岸研二
さんは、「地震計
や監視
カメラ、傾斜計
などで、どんな小さな変化
も見落とさないようにしているほか、毎月火口周辺を現地調査
しています。大きな災害
につながらないよう、しっかりと監視
しています」と話しています。
生きている火山を感じる、伊豆大島ジオパーク
生きている火山を感じることができることは貴重
な体験
です。伊豆
大島は、2010年に東京都で初
めて日本ジオパークに認定
されました。「ジオパーク」とは、私
たちが暮
らす大地の成
り立
ちや特徴
と、その上で育
まれた生きものや人々の暮
らしとのつながりをよく知り、それらを保全
し、教育・地域
振興
などに適切
に活用しながら持続
可能
な社会を目指す地域
のことです。日本では46の地域
が日本ジオパークに、そのうち9地域
がユネスコ世界ジオパークに認定
されています。
伊豆
大島ジオパーク推進
委員会事務局
でジオパーク専門
員を務
めている臼井
里佳
さんに話を聞きました。臼井
さんは「ダイナミックな火山景観
と、噴火
の脅威
にも負けずにたくましく生きる動植物や島民
の暮
らしぶりを、伊豆
大島ジオパークのジオツアーで体感してほしい」と話しています。
大島の活発な火山活動の歴史
がひと目で分かる場所があります。それが、「地層
大切断面
」。大島一周
道路沿
いにある、ひときわ目立つ地層
のしま模様
です。長さ約
630メートルにわたって、波打つように続
く見事な地層
の模様
は、その見た目から「バウムクーヘン」とも呼
ばれています。
臼井
さんは、「1953年に大島一周
道路を建設
したときに偶然
見つかったものです。約
1万8000年の間に起きた、約
100回もの大噴火
の噴出物
が積
もった歴史
がここに刻
まれています」と説明
してくれました。
三原山は、映画
「ゴジラ」シリーズの舞台
になったことがあります。偶然
ですが、火口近くには、まるでゴジラの姿
のように溶岩
が固
まった「ゴジラ岩」と呼
ばれる岩もあるんですよ。
(写真提供、取材協力:伊豆大島ジオパーク推進委員会)
伊豆諸島のある東京島しょへはどうやって行くの?
伊豆
諸島
では、地球が生きていることを感じるダイナミックな自然
があります。次の休みに出かけてみてはいかがでしょうか。