ここが東京都?! 車や電車では行けない「都内の宝島たからじま」～伊豆諸島編いずしょとうへん

みなさんは、東京に「島」があることを知っていますか？　伊豆
(いず)半島南東方向の海上にある伊豆
(いず)大島から続
(つづ)く「伊豆
(いず)諸島
(しょとう)」と、その南にある「小笠原
(おがさわら)諸島
(しょとう)」の住所は、実は“東京都”なのです。

これらは東京島しょ地域
(ちいき)と呼
(よ)ばれ、大小合わせて200以上
(いじょう)の島々が含
(ふく)まれています。このうち実際
(じっさい)に人が住んでいるのは伊豆
(いず)諸島
(しょとう)の大島、小笠原
(おがさわら)諸島
(しょとう)の父島など11島です。東京都内なので、島内を走る車は「品川ナンバー」！

東京だけど車や電車では行けない「東京都の宝島
(たからじま)」、まずは伊豆
(いず)諸島
(しょとう)の秘密
(ひみつ)にせまってみましょう。

活発な火山群島ぐんとう、伊豆諸島いずしょとう

地球の表面は、プレートと呼
(よ)ばれる巨大
(きょだい)な岩盤
(がんばん)で覆
(おお)われています。海水を吸
(す)い込
(こ)んだ海のプレートが陸側
(りくがわ)のプレートの下にもぐり込
(こ)んだ時に、その水分のはたらきで地球の内部のマントルというところがとけて、マグマになると考えられています。
火山の地下には火山ガスがとけこんだマグマがあり、このマグマはガスに押
(お)し上
(あ)げられて地上の近いところに上がってきます。すると炭酸
(たんさん)ジュースのふたをあけたようにマグマの中の火山ガスが泡
(あわ)になり、泡
(あわ)を含
(ふく)んだマグマが地上で噴
(ふ)き出
(だ)します。これが噴火
(ふんか)です。伊豆
(いず)諸島
(しょとう)は、フィリピン海プレートの下に太平洋プレートが沈
(しず)み込
(こ)む
(む)場所に沿
(そ)って噴火
(ふんか)した火山活動で生まれたのです。

なかでも火山活動が特
(とく)に活発なのが、伊豆
(いず)大島と三宅島
(みやけじま)です。この150年間で大島が4回、三宅島
(みやけじま)が5回噴火
(ふんか)（中規模
(きぼ)噴火
(ふんか)）。1986年の伊豆
(いず)大島噴火
(ふんか)で当時の島民
(とうみん)約
(やく)10,000人が約
(やく)1か月間全島避難
(ひなん)、2000年の三宅島
(みやけじま)噴火
(ふんか)では約
(やく)3800人の島民
(とうみん)が4年5か月にわたって全島避難
(ひなん)しています。

気象庁
(きしょうちょう)伊豆
(いず)大島火山防災
(ぼうさい)連絡
(れんらく)事務所
(じむしょ)の火山調査官
(ちょうさかん)、水岸研二
(けんじ)さんは、「地震計
(じしんけい)や監視
(かんし)カメラ、傾斜計
(けいしゃけい)などで、どんな小さな変化
(へんか)も見落とさないようにしているほか、毎月火口周辺を現地調査
(ちょうさ)しています。大きな災害
(さいがい)につながらないよう、しっかりと監視
(かんし)しています」と話しています。

生きている火山を感じる、伊豆いず大島ジオパーク

生きている火山を感じることができることは貴重
(きちょう)な体験
(たいけん)です。伊豆
(いず)大島は、2010年に東京都で初
(はじ)めて日本ジオパークに認定
(にんてい)されました。「ジオパーク」とは、私
(わたし)たちが暮
(く)らす大地の成
(な)り立
(た)ちや特徴
(とくちょう)と、その上で育
(はぐく)まれた生きものや人々の暮
(く)らしとのつながりをよく知り、それらを保全
(ほぜん)し、教育・地域
(ちいき)振興
(しんこう)などに適切
(てきせつ)に活用しながら持続
(じぞく)可能
(かのう)な社会を目指す地域
(ちいき)のことです。日本では46の地域
(ちいき)が日本ジオパークに、そのうち9地域
(ちいき)がユネスコ世界ジオパークに認定
(にんてい)されています。
伊豆
(いず)大島ジオパーク推進
(すいしん)委員会事務局
(じむきょく)でジオパーク専門
(せんもん)員を務
(つと)めている臼井
(うすい)里佳
(りか)さんに話を聞きました。臼井
(うすい)さんは「ダイナミックな火山景観
(けいかん)と、噴火
(ふんか)の脅威
(きょうい)にも負けずにたくましく生きる動植物や島民
(とうみん)の暮
(く)らしぶりを、伊豆
(いず)大島ジオパークのジオツアーで体感してほしい」と話しています。

大島の活発な火山活動の歴史
(れきし)がひと目で分かる場所があります。それが、「地層
(ちそう)大切断面
(だんめん)」。大島一周
(いっしゅう)道路沿
(ぞ)いにある、ひときわ目立つ地層
(ちそう)のしま模様
(もよう)です。長さ約
(やく)630メートルにわたって、波打つように続
(つづ)く見事な地層
(ちそう)の模様
(もよう)は、その見た目から「バウムクーヘン」とも呼
(よ)ばれています。
臼井
(うすい)さんは、「1953年に大島一周
(いっしゅう)道路を建設
(けんせつ)したときに偶然
(ぐうぜん)見つかったものです。約
(やく)1万8000年の間に起きた、約
(やく)100回もの大噴火
(だいふんか)の噴出物
(ふんしゅつぶつ)が積
(つ)もった歴史
(れきし)がここに刻
(きざ)まれています」と説明
(せつめい)してくれました。
三原山は、映画
(えいが)「ゴジラ」シリーズの舞台
(ぶたい)になったことがあります。偶然
(ぐうぜん)ですが、火口近くには、まるでゴジラの姿
(すがた)のように溶岩
(ようがん)が固
(かた)まった「ゴジラ岩」と呼
(よ)ばれる岩もあるんですよ。

（写真提供、取材協力：伊豆大島ジオパーク推進委員会）

伊豆諸島いずしょとうのある東京島しょへはどうやって行くの？

伊豆
(いず)諸島
(しょとう)では、地球が生きていることを感じるダイナミックな自然
(しぜん)があります。次の休みに出かけてみてはいかがでしょうか。