2023年5月号
日本で一番“最近”できた島「西之島」と生態系誕生のヒミツ
西之島
は、小笠原
諸島
の父島の西約
130キロメートルの太平洋上にある、面積
4平方キロメートルの無人
島です。実はこの島、1973年と2013年以降
の海底
火山の大噴火
で噴
き出
した溶岩
などで大きくなった、新しい島なのです。西之島
では2019年の噴火
によって島が溶岩
に飲
み込
まれ、陸
の生物がほぼ消滅
していました。ですから、何もない状態
から植物や昆虫
、鳥類
などが島にどのように住みつき、生態系
が作られていくのかをゼロから知ることができる、世界が注目している場所なのです。
噴火で面積を広げた西之島
西之島
は、1972年以前
は、面積
わずか0.07平方キロメートルしかない小さな島でした。それが、1973年から1974年の噴火
により新しい陸地
が生まれ、島全体の面積
は0.29平方キロメートルとなりました。その後、火山活動は休止していましたが、2013年11月に新たな火口から噴火
しました。その後、何度も噴火
を繰
り返
し、島はもともとあった大きさの10倍以上
の面積
に広がりました。
「生物のいない島」にどうやって生き物がすみつくの?
西之島
では、火山の様子や島の自然
の変化
などを調べるため、専門家
などによる学術
調査
が行われてきました。2008年時点では、スベリヒユなどの植物やカツオドリなどの鳥が確認
されましたが、2013年以降
の噴火
で、島の表面すべてが溶岩
や火山灰
で覆
われてしまい、生物が全くいない島になりました。
生態系誕生のヒミツに世界が大注目
西之島
は、最
も近い父島から130キロメートルも離
れている絶海
の孤島
です。人間が全く関
わらない新しい陸地
で、新たに動植物が定着していく過程
を実際
に観察
できるのは、地球上でたった一つ、ここだけなのです。
2022年度の調査
では、周辺
海域
でイソギンチャクやエビ、カニなど70種
以上
の生物が確認
されました。また、ドローンによる空中からの調査
では、植物類
は見つかりませんでしたが、カツオドリやセグロアジサシなどの鳥が巣
を作っていることが分かりました。今後、どのように生態系
が作られていくのか、世界から注目されています。