2023年12月号
デフリンピックが2025年に東京で開催!
これは、「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025(以下「東京2025デフリンピック」)」の大会エンブレム。
デフリンピックは耳がきこえない・きこえにくい選手のための国際的なスポーツ大会で、オリンピックと同じように、夏の大会と冬の大会それぞれ4年ごとに開催されます。1924年にフランスのパリで第1回大会が開かれ、それから100周年。ついに日本で、そしてこの東京で、デフリンピックが開催されます。
耳がきこえないアスリートのスポーツの祭典
東京2025デフリンピックは2025年11月15日から26日までの12日間、駒沢オリンピック公園総合運動場など主に都内のほか、静岡、福島の会場で計21の競技が行われます。選手だけでも、70~80か国・地域から約3,000人に上ることが予想されています。
「deaf(デフ)」とは、英語で「きこえない」という意味で、耳がきこえない人のスポーツのことをデフスポーツ、その競技者をデフアスリートと言います。
夏季デフリンピックは1924年にフランスで始まり、日本は1965年のアメリカのワシントン大会から参加しています。2022年のカシアス・ド・スル大会(ブラジル)では、世界73か国・地域の2,412人が参加し、日本からは95人の選手が参加。過去最多30個のメダルを獲得しました。
デフリンピックに出場できる選手は、大会が決めている「耳がきこえない程度」の決まりもありますが、各競技団体が実施する合宿や大会に参加することが条件となります。そして、その成績などから強化指定選手として登録された選手の中から代表が選ばれます。
“目で見てわかる” 選手への合図の工夫
きこえないことは、見ただけではわからない“目に見えない障害”と言われています。競技ルールはオリンピックと同じですが、音がきこえない・きこえにくいことで生まれる不利、ハンデに対して様々な工夫がこらされています。
例えば、陸上や水泳ではオリンピックでは音でスタートの合図をしますが、デフリンピックでは、フラッシュランプを使って、光で選手にスタートを知らせます。サッカーでは、審判がホイッスルを吹くと同時に、旗、または片手を上げることで、反則などがおきたことを選手に知らせます。
写真提供=一般財団法人全日本ろうあ連盟
デフリンピックを知って、みんなで応援しよう
東京2025デフリンピックの大会エンブレムのデザインは、国内で唯一の聴覚障害者・視覚障害者のための国立大学である筑波技術大学の学生が制作し、都内中高生の投票により、多田伊吹さんのデザインが選ばれました。デザインは、手話などで大切な「手」を表し、互いの交流やコミュニティが「輪」のようにつながった先に、新たな未来の花が咲いていることを表現したもので、花は桜をモチーフにしています。
デフリンピックはパラリンピックとくらべるとまだまだ知られていないのが現状です。デフスポーツにはどんな競技や特徴があるのか、どんな選手が参加しているのかなど、興味を持ったらぜひチェックしてみましょう!
大会では、デフアスリートの活躍が観戦する人の心に響き、耳がきこえない・きこえにくいという目に見えない障害への理解が広がることを目指しています。デフリンピックの“共通言語”は「手話」。「応援」の手話をおぼえて、みんなで応援しましょう。
2025年、スポーツが生む感動をみんなで分かちあおう
2025年には、デフリンピックに加え、陸上競技のトップアスリートが集う「世界陸上競技選手権大会」も開催されます。東京都は、世界中から様々な人々が集まるこの2つの国際大会をきっかけに、「いつでも・どこでも・誰とでも」つながる社会を目指しています。手話や音声をテキストで画面に表示するなど、日々進化するデジタル技術を活用し、新しいコミュニケーションの方法を生み出していきます。
音声を文字にするもの
生活音を文字にするもの
2025年の両大会では、無観客となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では実現できなかった、思い切り声を出しての応援もかないます。
障害のある人もない人も、すべての人が自分の持つ力を思い切り表現し、喜びを分かち合うことができる街や社会を一緒につくっていけるとよいですね。
取材協力:東京都生活文化スポーツ局
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