2024年8月号
都立図書館で自由研究のテーマをさがそう!
みなさんは、図書館をよく利用しますか?
図書館は読みたかった本や、知りたいテーマを取り上げている本を見つけ、静かな環境で自分の求めている情報と向き合うことができる施設です。
みなさんの中に、夏休みの課題で「自由研究のテーマが決まっていない」「どんな研究をしたらよいのかわからない」という人はいませんか? そんなときには、都立図書館が心強い味方になってくれるかもしれません。
都立図書館ってどんなところ?
東京都には、「都立中央図書館」と「都立多摩図書館」の2つの都立図書館があります。ここは、だれもが使いやすい図書館として、さまざまな分野の本を手に取ることができ、わたしたちの学びや知るきっかけを提供してくれます。
都立中央図書館(港区)は、約229万冊の本がある国内最大級の図書館です。そして、こどもにぴったりのサービスやコーナーがあるのが都立多摩図書館(国分寺市)。本のスペシャリストである司書さんが、みなさんのさがしている本や自由研究のヒントになる本について、相談に乗ってくれます。
こどもの本が充実!都立多摩図書館の「こどものへや」
都立多摩図書館には、約27万冊のこども(赤ちゃんから高校生まで)の本があります。そのうち、閲覧室の本棚に並んでいるのは、約9万冊。まずは、1階の「こどものへや」に行ってみましょう。
ここには、司書さんがすすめる約1万3400冊もの児童書が並んでいます。物語、社会の仕組みや仕事、人体や宇宙などの自然科学、工作や芸術、スポーツなど、幅広い種類の本がたくさんそろっています。
こどものへやには、だれでも読める“バリアフリーの本”をまとめた「りんごの棚」があります。目の不自由な人にも読める点字の本や、大きな字で読みやすく書かれた本、さわって楽しめる布の絵本など、いろいろな方法で読書を楽しむことができます。
りんごの棚は、すべてのこどもが本を読む喜びを感じることができるように1993年にスウェーデンの図書館で始まった取り組みで、都立多摩図書館には2021年に設置されました。りんごの棚という名前は、この取り組みを始めた図書館にある、こども向けのおもちゃに由来しています。
また、さまざまな言語で書かれた外国語のこどもの本のコーナーもあります。外国人のこどもが読みに来るほか、有名な絵本の翻訳版などで外国語を学習したいというこどもたちにも活用されているそうです。
本を探すのに迷ったときは、カウンターに司書さんがおり、みなさんの頼もしいアドバイザーになってくれます。あなたの特別な一冊と出会えるかもしれません。
図書館のバックヤード「書庫」をのぞいてみよう
都立多摩図書館がほかの図書館と違うところは、「図書館のための図書館」という役割を持っているところです。
「開架書庫」には学校図書館や区市町村の図書館の人が、こどもたちのためにどんな本をそろえたらよいのか参考にできる「選書コーナー」があります。
※開架書庫には、カウンターで手続きをして入ることができます(高校生以上)。
そして、閲覧室の本棚に収まりきらないこのほかの本や雑誌は、バックヤードにある本の倉庫「書庫」で大切に保管されています。ちょっとのぞいてみましょう。
書庫には、明治時代などに出版された大変貴重なこどもの本もたくさんあります。
みなさんは『フランダースの犬』という本を知っていますか? ベルギー北部を舞台にした、15歳の貧しい少年ネロと犬のパトラッシュの物語。アニメになったこともある有名な物語です。この本は、1872年にイギリスで出版されました。
都立多摩図書館には、みなさんが生まれるずっと前の1909(明治42)年に印刷された日本語訳の『フランダースの犬』の本があります。この日本語訳の本では、当時の日本のこどもたちに親しみやすくするためなのか、「ネロ」と「パトラッシュ」が「清(きよし)」と「斑(ブチ)」という名前になっています。なんだかおもしろいですね。
都立多摩図書館では、こうした貴重な古い本を実際に手に取ってみることができるのが大きな特長です。そのため、傷んでしまった本を修理して、次の世代に残すために工夫して、大切に保管しています。
また、都立多摩図書館には、さまざまな種類の雑誌をそろえた「東京マガジンバンク」があり、約1万9000タイトルの雑誌があります。雑誌の第1号を集めた「創刊号コレクション」の中には、今から約150年前の1877年に創刊された雑誌もあります。雑誌も本と同様に、貴重なものが書庫にたくさん保管されています。
※みなさんが書庫に入ることはできませんが、カウンターで申し込みをすると書庫に保管されている本を図書館の人に持ってきてもらって、こどものへやなどで見ることができます。
自由研究に悩んだら…図書館でヒントをさがそう
都立多摩図書館では、夏休みに自由研究のテーマなどについての相談が毎年多くよせられます。そこで司書さんは「こんな研究をしてみたらどうですか」というアイディアと参考図書を、手作りの111枚のカードにまとめて、9月4日(水)まで、みなさんが自由に持って帰れるようにしています。
カードは「理科」「社会」「国語」「英語」「せいかつ・家庭」「工作」「おまけ」に色分けされ、参考になる本があわせて紹介されています。
たとえば理科のカード001は、「ご近所ネコマップを作ろう」。地域のネコをよく観察して名前をつけ、カードを作って色や模様、大きさを書いていく――と説明があります。
そして、『ノラネコの研究』『わたしのノラネコ研究』という2冊の本が参考図書として紹介されています。
「工作」は人気のテーマだそう。最も人気なのは、カード099「絵本の主人公を作ってみよう」。「みんなのすきな絵本の主人公を作ってみよう」というもので、ぬいぐるみや粘土などで『ぐりとぐら』などの主人公を作ってみることを提案しています。
参考図書は『いっしょにつくろう』『絵本の国のぬいぐるみ』です。
2番目に人気なのはカード092「どんな草も紙になる!」。牛乳パックや草に水をまぜ、ミキサーにかけて、どろどろになったものをたいらにしてかわかすと紙になります。
参考図書は『どんな草でも紙になる』『紙をつくろう』です。
このほか、「宇宙ステーションを見つけよう」「雲の観察」「マンホール図鑑」「江戸時代をさがせ」「防災たいさく点検隊」などユニークなアイディアがたくさん紹介されています。
ちなみに、司書さんのイチオシは最後の111番目「図書館のひみつ探検隊」です。都立多摩図書館では定期的にバックヤードツアーを開催しているので、図書館のひみつを探しに、参加してみるのもいいでしょう。
このアイディアカードは都内の小学校にも配布していたり、都立図書館ホームページのこどもページからでも見ることができますが、夏休み中に都立多摩図書館に行くと、自分で好きなカードを選んで、アイディアカードで紹介されている本を読むことができます。
みなさんが挑戦してみたいと思うようなアイディアが見つかるかもしれません。カードの通りにやってみてもいいですし、カードに書かれたアイディアをヒントにして、自分だけの研究を考えてみるのもいいでしょう。司書さんのおすすめ本コーナーもありますので、読書感想文を書きたいと思っているあなたも、夏の一冊を探しに、ぜひ都立多摩図書館に出かけてみてはいかがでしょうか。
関連情報
👉東京都立図書館 こどもページ
👉これならできる!自由研究 ~111枚のアイディアカード
👉これならできる!自由研究 ~111枚のアイディアカード集 冊子版
東京都庁第一庁舎都民情報ルーム、紀伊國屋書店のウェブショップにて販売中!
取材協力=都立多摩図書館、東京都教育庁
❖都立多摩図書館
住所 東京都国分寺市泉町2-2-26
電話 042-359-4020
交通
JR中央線・武蔵野線「西国分寺」駅南口 徒歩7分
開館時間
月〜金曜日:午前10時〜午後9時
土・日・祝日:午前10時〜午後5時30分
休館日
公式サイトのカレンダーを確認してください。
◤多摩図書館イベント情報◢
▶企画展示「だれでも読めるこどもの本」
多摩図書館が所蔵するバリアフリー図書を展示し、LLブック、大きな活字の本、点字の本、布の絵本などを紹介します。展示会場では謎解きクイズラリーも行います。
会期 7月20日(土)~9月30日(月)
休館日 8月1日(木)、16日(金)、9月5日(木)、20日(金)
場所 展示エリア
▶「これならできる!自由研究 111枚のアイディアカード+αから選ぼう!」
夏休み、「こどものへや」は自由研究のヒントがいっぱい!理科、社会、国語、英語、せいかつ・家庭、工作、それから、家でできる研究…合わせて121 枚のアイディアカードや関連図書を展示しています。
会期 7月5日(金)~9月4日(水)
休館日 8月1日(木)、16日(金)
場所 こどものへや、エントランス
▶「雑誌で応援! パリ2024」
パリオリンピック・パラリンピックの開催期間に合わせ、多摩図書館が所蔵するスポーツ雑誌を展示しています。競技や選手の特集記事など大会を楽しむことができる展示です。
会期 7月8日(月)~9月4日(水)
場所 開架書庫前
▶ウォール展示「魅惑のパリ -特集号で見る街の顔-」
今年の夏はパリオリンピック・パラリンピックが開催!開催地であるパリを特集した雑誌を展示します。旅行者として訪れるパリの見どころだけでなく、パリ市民の日常が紹介されている雑誌も展示しています。
会期 7月8日(月)~9月4日(水)
場所 開架書庫前
▶バックヤードツアー
都立多摩図書館の魅力を知ってもらい、さまざまな方に都立多摩図書館に興味を持つきっかけを作るため、参加者にふだんは入ることのできない書庫や、明治・大正期の貴重な児童書、山本有三文庫などを紹介するツアーを実施します。
実施日 9月26日(木)午後2時から3時まで。定員10名
場所 閲覧室・開架書庫・閉架書庫
応募方法
▢都立図書館公式サイトからの申し込み
8月下旬頃から募集開始。都立図書館公式サイトのトップページ「新着情報」のイベントページより、多摩図書館の情報を確認してください。
▢電話申し込み 042-359-4034